再びHOONAHへ

10月6日の23時Hoonah到着

深夜にも関わらず、ハリバット漁帰りの漁船は煌々と作業灯を点け解体作業をしている・・・私達は舫いを取って、そのままベットへ

写真上  解体作業は翌朝も続いていた・・・

 

10月7日、ほぼ丸一日寝て過ごした・・・

ベットの中で、村上春樹「中国行きのスローボート」を読むも集中できない・・・テイストが私に合わないみたい・・・途中で投げ出す

「ノルウェーの森」はあんなに良かったのに・・・

 

10月8日、午前中カナダ国境までの海図不足分をチェック・・・

昼過ぎジェイさん現れ射撃に行こうと誘われる

ちゃっかりハーバーマススターの車を借りてくる・・・

写真上  AK-47突撃銃、マグナム44など試射する

AK-47突撃銃は反動も素直で撃ちやすい・・・

「なかなか上手いじゃない・・・」当然です、自衛隊の一級射手でしたから・・・

マグナム44は反動が大きく両手で何とか撃つ・・・連射は無理だ

妻が撃つと弾は空に向かって飛んで行った・・・

ジェイさん「白頭鷲は大丈夫か・・・?」とつぶやく・・・

写真上  その夜は船で大宴会となる・・・妻、飲みすぎ・・・

氷河湾国立公園のプレッシャーから開放されたからかも知れない・・・

 

写真右はドミトリー君、ロシア人である・・・ジェイさんの助手だ

元ソ連海軍水兵で、シベリアで木を切り、自分達で製材し帆船を作りアラスカまでやって来た・・・

写真上  凄い存在感の船だ・・・船首の十字架がお守り

海上であったら海賊に見間違えそうだ・・・

帆も自分達でミシンを踏んだ

航海計器はコンパスだけ・・・

貧弱な海図しかなく三隻だった船団は一隻は座礁し海底へ・・・

一部の乗組員はアラスカで下船した・・・

サンフランシスコ沖で一隻、最後の一隻はサンディエゴ沖で沈没し

彼らの計画的なアメリカ移住は成功した・・・!

 

凄い生命力だ・・・!

この世には未だ見ぬ凄い奴がいっぱいいる・・・!

 

ドミトリーはソ連極東潜水艦隊に居たが

彼の乗った原子力潜水艦は、三年間修理ばかりして動かなかった・・ソ連軍は治安軍になったそうです

私は北海道で対ソ連軍担当の部隊に居た・・・

ジェイさんは元海兵隊のベトナム帰り・・・

そして妻は中道左派、愛と義の「饗応夫人」・・・

 

「呉越同舟!!」・・・「平和の価値を考えましょう・・・!!」

政治、宗教、主義主張を超越すれば・・・

個人として良い奴は、良い奴だ・・・!

 

なんだか皆さん、悪酔いしませんでしたか・・・?

妻の補足

私はフランス文学の次にロシア文学が好きで、ロシア人には好感を持っている。しかし、実際にはドストエフスキーやトルストイ、チェーホフの登場人物を通してしかロシア人を知らない。

だから、本物のロシア人に会えたことはとても嬉しいことだった。それも名前がドミトリーだなんて。期待に違わず、彼は好青年で私たちは、レッドキャビアと称するいくらのオイル漬けをお土産に貰った。

彼の住んでいたシベリアの家は、冬季、トイレも外まで行かなければならないと聞き、その生活の凄まじさを思った。互いに母国語ではない英語がネイティブの英語より分かりやすく、また少しお酒が入った方が、細かいことにこだわらず英語が出て来るものだ。

ついでに一言

最近の若い人がドストエフスキーを知らないことには本当に驚く。美容院で「何の本ですか」と聞かれ「ドストエフスキー」と答えると「何ですかそれ」と来た。冗談だと思っているとどうもそうではないらしい。ドストエフスキーを知らない人がいるなんて思ってもみなかったことだ。

それから会う若い人に必ず聞くとほとんどの人が知らなかった。しかし、読書好きの人の間では、聞くことが違う。「カラマーゾフの兄弟」は何人兄弟か? この答えは、もちろんスメルジャコフを入れるんだろうなと思う。