奇跡の四日間・・・3

02時、月が無い夜、星が海面に映え明るい

奇跡的な凪(デットカーム)が続いている・・・

この海域の唯一の避難港ヤクタット(Yakutat)へは入らないと決め・・・

昨夜21時に針路を変え沖出しにした・・・残航211海里!

 

ポートサイド(左舷)に低く薄く曖昧なオーロラが見える

今夜は海岸線がハッキリしない・・・

微かにゆったりとウネリがある・・・

オンディーヌは夜空に溶け込み重力から解放されて浮かんでいる感じだ・・・

船尾の航跡は今夜のオーロラの様に白く尾を引き

時々、宝石のように夜光虫が光る・・・

 

03時34分、赤い月が昇る、水平線に霧、気温8℃

気圧1005mb・・・風は全く無い!

 

日の出の後、視界がはっきりする

08時、Mt.St.EliasからMt.Fairweatherまでが視界に入る

長さ220キロメートルを越える、氷河をまとった大山脈である

写真上  Numerous Glaciers「幾多の氷河群」と呼ばれる山塊

 

大きな低気圧に挟まれたユルユルに緩んだ高圧部にいるようだ

天気図上  天気図右「04」の数字の所に居る

写真上  Numerous Glaciersの南部

写真上  Mt.Fairweather(15,320フィート)

私達はこの山脈の裏側へ廻り込まなくてはならない・・・そこは安全な海域である

 

14時、気圧1004mb、気圧が下がる兆候がある

気温9℃、NEの風10m、Yakutatの南44海里

気象FAXの情報にベーリング海の流氷の動向が載りだす

明後日から海は荒れそうだ・・・

写真下  Mt.Fairwetherは更に近付き夕日が射し始める

この山の命名は「キャプテン ジェームス クック」である

彼由来の地名も多い、アンカレッジへの長い大きな湾は「Cook Inlet」という・・・今、私達の航行しているこの海域は「Fairweather Ground」と呼ばれている・・・何度航行しても良い天候だったらしい・・・彼と同じ「ツキ」があるのかも・・・

18時、焼きそばで夕食

20時、船長仮眠へ・・・妻がワッチ(見張り)へ・・・