ウニマック海峡(Unimak Pass)は北のホーン岬と現地の人はいっている
濃霧や強風、非常に早い海流が航行を脅かす
巨大船、大型船も頻繁に航行している
韓国、日本海、オホーツク海、ベーリング海、北太平洋、米西海岸を結ぶメジャーなルートなのだ
アクタンハーバーからはベーリング海へいったん入りアクン島を大きく北に迂回するのが常道である
コピーを切り張りした海図を見ていて、近道を見つけた
アクン島とアクタン島の間、アクン狭水路(Akun Strait)を南東に下り、Avatanak Straitを東北東に抜けると前者のルートの三分の一の距離で済みそうだ
連れ潮で入れば、さらに時間を短縮しウニマック海峡に出られそだ
(「連れ潮」とは潮流と同方向へ航行、船速が増す・・・時刻と方向が鍵)
7月28日午前6時、霧は若干かかっているも、完全な凪であった
狭い水路に入ったとたん目の前の三つ連なった渦潮である
アッという間に吸い込まれ引き返せない
海図上 アクン狭水路(Akun Strait)詳細図
狭く、浅い水路の危険を察知出来なかった私のミス
妻を船室に入れ、ハッチをとじた
妻の安全もあるが、私の取り乱した顔を見てパニックになると困ると思った
潮汐表では引き潮の始まったばかりの時間なのに
渦潮の深さは3mから4メートルはあり
船首は立ち上がり船尾に波がせまる
両岸の岩礁は近い
洗濯機の中の玩具のヨットである
アビーム(横からの風)帆走、エンジン全開以上
渦にのみ込まれない様、渦の縁に船を持っていくと岩礁が迫る
三時間で2,5海里(4.5km)しか進まない
アヴァタナック狭水路に入ると
風は西に変わり追って(ランニング)23メートルと上がってきた
逆潮6,5ノット(時速12km)で全く進まない
連れ潮と勘違いしていたのだ!
ここも渦潮があり針路が一定に保てない
現在地確認のためオートパイロットを入れ
海図と島々を見比べたとたん
オートパイロットが破損(油圧系統がパンクしていた)
針路は大きく東にそりそうになり舵に飛付いたとたん
ワイルドジャイブ(主帆が暴れる)1回!2回!3回!
15時潮は逆(連れ潮)になり急に東北東へ走り出す
16時5分ウニマック海峡に入った
全身潮だらけ、耐え難い疲労・・・
10時間のドタバタ劇であった