船長、最悪の選択・・・2

16時5分、ウガマク島(Ugamak Is.)正横

ウニマク海峡(Unimak Pass)横断のコースへ入る

 

急に風が上がる、西の風28メートル!・・・薄い霧で暗い海、波悪し

米水路誌はウニマク海峡のことを

「幅10海里(18km)の海峡、常に風の強い荒海で危険が横たわっている、東と北風により潮流は加速され・・・必ず潮汐表を見よ・・・」とある

 

コースは北東、ストームジブ(荒天用前帆)だけで追い波に乗り走るが、予定コースより4海里北へ流されている、実質北北東に流されている、西風でも北へ流されている

このままだと対岸にぶつかりそう

写真上  ウニマク海峡海図

海峡に入ると急に北へ流され

東南東に針路変更し、必死のドタバタぶりが分かる航跡

対岸のウニマク島が近づき、どんどん大きくなる

離れなくては・・・・

 

雲に隠れていたウニマク島の三つの火山が見え始める

隠れて見えない方が精神的に恐ろしくないかも知れない

アー・・・海が船尾で盛り上がる・・・・

 

山頂にかかる雲が強風の証しである

沿岸沿いに濃霧が発生している・・・ここで、あれは嫌だ、ごめんだ!

 

この風があのウオーリーウオー(Williwaw)の風なのか?

水路誌によると

「アリューシャン列島やアラスカ西部の山脈の風下側でしばしば起こる激しい山おろしのことである。このWilliwawはその猛烈さと、極端な突風性に加えて、その発生は極めて突発的であるから特に危険で、これは山の風上側で多量の空気が塞き止められ、それが突然おおいかぶさる大波の様に、山を越えて風下側に流れ出して来る時に起こる。

Williwawの吹いてくる方向はその地方の地形によるので、ある特定な地方でこれが発生するか否かはその時の気圧配置による。

この風の激しさと正確な風向とは、その影響を受ける沿岸と相対的な位置にある山地の険しさと、その位置関係による。」

 

アクタン島の二泊の休息は凶とでた、せめて一泊にするべきだった・・・