WILLIWAWの村・・・8

8月8日大風は続き今日も出航は無理だ

アレウト人はそろそろ風は止む頃と言う

 

時間はたっぷりあるから本が読める

数日前から読み出した 澁澤龍彦著「高丘親王航海記」を読みおえる

幻想文学とでも言うのか?

気の弱い旅人がいろんな妄想に取り付かれ・・・・でも後へは引けない

知識はあっても現地での出会いは必ず想像を超える

人、文化、自然、空気・・・

 

心理的には、私のこの航海ともダブル

臆病なのにむこう気が強いニューヨークのゲイの友人Tに読ませたい

これを読み終えたらシャム湾やメコン川に興味が傾き

本棚から、河出書房新社の世界の歴史18「東南アジア」を探し出し読み出す

前著はまんざら作り話ではないみたいみたい

 

熊のこと

私たちが着く三週間前に9歳の少年が、ブラウンベアに頭をかじられ亡くなったそうだ

熊は夜、港の裏山の滝付近を歩き回っているという

ここから500メートルくらいだ

住人は外出はすべて車、ごく近距離でも車だ・・・歩かない

 

車の中にはライフル銃や大型のピストルが置いてある

丸腰で散歩する私たちは・・・熊の餌?

少年が死んでも、村中で集まり熊狩りなんてしない

野生の熊と、武装した人間がここに居るだけのことだ・・・

写真上  車の中から一瞬見えた「ブラウンベアー」

 

WILLIWAWで草原が波打つように

熊の硬い毛皮も波打っているだろう

濡れた鼻を風上にむけ・・・自分の未来を嗅ぎ取ろうとしている

写真上  WILLIWAWが創り出す不気味な雲

WILLIWAWのこと

台風以上の風が数日続くと

風はピタリと止んで「デットカーム(死んだような凪)」となる

いつかは治まる風である

安全な港や入り江で待つだけである

セール(帆)は用を為さない

エンジンで走る、8ノット(時速15キロくらい)はでる

走るというよりは滑るというのがふさわしい

心地よいセーリングを期待してはいけない

臆病な旅人はひたすら「デットカーム」を待つ